この記事では、住宅ローン審査に通らない理由と通るための対策を解説します。注文住宅を建てる際には多くの人が住宅ローン審査を受けますが、審査に落ちるケースがあります。
この場合は家づくりの計画が大きく変化するため、住宅ローン審査は非常に重要なポイントといえるでしょう。住宅ローン審査に通らない理由にはさまざまなものがあります。
本記事を参考に、住宅ローンに通らない場合の対策を練りましょう。
【この記事でわかること】 ● 住宅ローン審査の仕組み ● 住宅ローンの事前審査と本審査に通らない理由 ● 住宅ローンの審査に通るための対策
そもそも注文住宅の諸費用とは?
住宅ローン審査とは、金融機関が融資の妥当性、もしくは可否を判断するためのステップです。
審査は事前審査と本審査の2段階で、審査基準が変わります。
この章では、審査の流れや審査基準、必要書類について解説します。
- 審査の流れ
- 審査基準
- 審査に必要な書類一覧
順番に見ていきましょう。
審査の流れ
住宅ローン審査の流れは、以下の表のとおりです。
ステップ | 審査内容 | 必要期間 |
---|---|---|
事前審査 | 申込者の属性と 借入金額の妥当性 | 受付当日~1週間 |
本審査 | 事前審査の精査と 物件価値審査、 申込者の健康状態チェック | 受付から10~14日間 |
住宅ローン契約 | 正式な住宅ローン契約 | なし |
実行 | 融資実行 | 契約当日~2週間 |
審査の注意点として、それぞれの審査には必要な期間がある点が挙げられます。
そのため、融資実行のタイミングから逆算して審査の申込をする必要があるでしょう。
審査基準
審査基準は、事前審査と本審査で異なります。
事前審査では、申込者の勤務先や勤続年数、年収と借入希望の妥当性をチェックします。
また、個人信用情報もこのタイミングで確認し、問題があれば数日内に金融機関から「否決」もしくは「保留」の連絡があるでしょう。
一方、本審査では申込者の住所や納税状況を調べ、さらに購入しようとしている物件の担保価値と申込者の健康状態をチェックします。
そして、事前審査と本審査の両方を通過すると、金融機関と住宅ローン契約を締結でき、融資を受けられます。
審査に必要な書類一覧
事前審査と本審査時点で必要な書類は、次のようになります。慌てて用意することがないよう、事前にチェックしましょう。
事前審査/本審査 | 必要書類 |
---|---|
事前審査 | 運転免許証 |
事前審査 | 源泉徴収票 (自営業の場合は直近3期の確定申告書B様式) |
事前審査 | ほかに借入がある場合は借入明細表 |
事前審査 | 物件資料 |
事前審査 | 資金計画表 |
本審査 | 住民票(マイナンバー抜き) |
本審査 | 印鑑証明書(発行3ヶ月以内) |
本審査 | 所得証明書 |
本審査 | 健康診断の結果 (健康診断に問題がある場合) |
本審査 | 借入の完済証明書 (融資条件が完済条件となった場合) |
本審査 | 売買契約書 |
本審査 | 購入する物件の全部事項証明書、 公図、測量図 |
必要書類は、融資条件や健康状態の問題の有無、会社員か自営業かによって変わり、全ての書類が揃って審査がスタートとなります。
つまり、書類不備があると審査が進まずに融資を受けられる日が確定しません。
住宅ローンの事前審査に通らない理由
住宅ローンの事前審査で落ちた場合、次に挙げる6つの理由が考えられます。
- 借入希望額が大きすぎる
- 他に借入している
- 過去に返済を滞納したことがある
- 個人事業主で安定した収入がない
- 勤続年数が短い
- 完済時の年齢が80歳以上である
順番に見ていきましょう。
借入希望額が大きすぎる
住宅金融支援機構の調査によると、注文住宅の借入額は [年収の約6.8倍] が多いという結果になりました。(※)
「年収倍率」と呼ばれるこの指標は、他の金融機関でも審査基準として利用されており、同様に7倍以下であれば安全とみなされる傾向にあります。
そのため、年収倍率が7倍以上になると融資が否決、もしくは減額という回答になるおそれが高い場合があります。
※参考:2021年度 フラット35利用者調査│住宅金融支援機構
他に借入している
借入希望額の妥当性をチェックする際に、前述した借入額と年収の割合と併せて、年収と年間返済額の割合も確認します。
「返済負担率」と呼ばれるこの指標は、住宅金融支援機構では25〜30%が最も多く、他の金融機関でも一般的に30%以下を安全ラインとして設定しています。
しかし、この負担率は全ての借入を合計するため、他の借入がある場合は審査に対し不利となるでしょう。
過去に返済を滞納したことがある
過去に返済を滞納した場合は個人情報に傷がついてしまい、事前審査を通ることが非常に難しくなります。
こういった個人情報の傷は数年間残ってしまい、その間は審査を通過できません。
借入先や滞納内容など状況を整理して、住宅ローンの審査を通す準備が必要でしょう。
個人事業主で安定した収入がない
個人事業主の場合は会社員よりも景気の影響を受けやすく、金融機関の融資の基準が厳しくなる傾向にあります。
特に、経費を多く申告して売上を低くし法人税を減らす対策をしている個人事業主は、収益が低い結果になってしまうため、事前審査に通らないケースが多いです。
この場合も、住宅ローンの借り入れを視野に入れた前持った確定申告の調整が必要でしょう。
勤続年数が短い
勤続年数が1年以内の場合、会社員であっても年収は不安定と見なされます。
そのため、家づくりスケジュールにもよりますが、事前審査を受けるタイミングは、なるべく勤続年数が2年目以降にしましょう。
完済時の年齢が80歳以上である
住宅ローンの融資は、完済年齢の限度が80歳であるケースが多いため、80歳以上での事前審査は原則否決となります。
住宅ローンの本審査に通らない理由
住宅ローンは、事前審査が通ると本審査をほとんどのケースで通りますが、稀に否決となる場合があります。
そのため、この章で解説する本審査の否決理由を確認し、万が一の際にはすぐに対応できるようにしましょう。
- 物件の担保価値が低い
- 事前審査のときと申告内容が異なる
- 本審査前に転職した
- 健康状態に問題がある
上記4つの理由を順番に見ていきましょう。
物件の担保価値が低い
再建築不可物件など、購入する物件の価値が著しく低い場合は担保価値も低くなり、本審査が否決となる場合があります。
この場合は、自己資金で購入することになるため、注意が必要です。
事前審査のときと申告内容が異なる
事前審査で提出した書類と本審査の調査内容が違う場合、本審査で否決となるケースがあります。
たとえば、源泉徴収票と所得証明書に大きな差がある場合や、事前審査時に提出した物件と全く別の物件を購入しようとしている場合、新しく借り入れを組んでしまった場合(携帯電話の機種代金なども借り入れとしてみなされます)などが、これにあたります。
本審査前に転職した
事前審査を通過した後に転職や退職をした場合は、本審査で否決になるケースが多くあります。
ただし、会社の統合や転籍の場合は転職や退職とはみなされないため、勤務先が変わる場合は速やかに金融機関へ報告しましょう。
健康状態に問題がある
本審査のタイミングでは、健康状態をチェックし団体信用生命保険の加入ができるかどうかを審査します。
この審査は保険会社が提示する告知書に沿って進められ、記載されている事項に抵触する健康状態の場合は本審査が否決になるおそれがあります。
このようなリスクがあるため、健康状態に不安がある人は、事前に相談しましょう。
住宅ローンの事前審査・本審査に通るための対策6選
住宅ローンの事前審査と本審査を通過するには、この章で解説する対策がおすすめです。
- 頭金を用意する
- 他のローンを完済する
- 複数の金融機関に審査を申し込む
- 親子リレーローンを利用する
- ペアローンや連帯債務・連帯保証を検討する
- フラット35やワイド団信を利用する
上記6つの対策を順番に見ていきましょう。
頭金を用意する
使用するかどうかは別として、頭金を多く用意することは審査に通りやすくなるでしょう。
住宅に使える資金を、普段から貯金しておくことが重要です。
他のローンを完済する
他のローンを完済し住宅ローンだけの状態にしておくことで、返済負担率を下げられ、事前審査を通過する可能性を高められます。
特に、消費者金融からの借入が残っていると審査が厳しくなるため、なるべく完済しましょう。
複数の金融機関に審査を申し込む
1行だけでなく、複数の金融機関に審査を申し込むことで、通過の可能性が高くなります。
ただし、多くの金融機関から同時に否決となった場合は審査が余計に厳しくなるため、依頼する金融機関は2,3行がおすすめです。
親子リレーローンを利用する
親子リレーローンは金融機関としても借入が長くなり、仮に子の融資リスクが高くとも審査に通る場合があります。
そのため、事前審査に落ちた場合には親子リレーローンを検討しましょう。
ペアローンや連帯債務・連帯保証を検討する
ペアローンや連帯債務・連帯保証は世帯全体で融資を返済することになるため、1人の債務者が審査を受けるよりも通りやすくなるでしょう。
このことからも、親子リレーローンと同様に事前審査に落ちた場合には検討すべき対策といえます。
フラット35やワイド団信を利用する
団体信用生命保険に加入できない健康状態の場合は、団体信用生命保険への加入が融資条件に含まれないフラット35か、健康状態の審査が緩いワイド団信に切り替えましょう。
住宅ローン審査に通らない際によくある質問
この章では、住宅ローン審査に通らない際によくある質問を解説します。 住宅ローン審査に関するよくある質問は以下のとおりです。
- 個人信用情報の傷は何年残る?
- 住宅ローンに通らない人は何割?
- 住宅ローンの再審査はいつ頃から受けられる?
順番に見ていきましょう。
個人信用情報の傷は何年残る?
一般的に、個人信用情報の傷は7〜10年間残るといわれています。とはいえ、具体的に何年残るかは公表されていないため、残債がある場合は早めに完済し備えましょう。
住宅ローン審査に通らない人は何割?
住宅ローン審査に落ちた件数は公表されておらず、正確な数は不明です。なぜなら、住宅ローンは年収や健康状態などの個人情報を精査するため、金融機関がみだりに公開しないからです。
そのため、審査に通らない人の割合は定かではないですが、一般的には10%前後の人が審査に通らないとされています。
住宅ローンの再審査はいつ頃から受けられる?
事前審査や本審査に落ちた場合、落ちた原因が改善されたタイミングで再審査を受けられます。
たとえば、個人情報の傷が原因であれば7~10年後から再審査を受けられ、年収が低いのであれば高くなったタイミングで再審査が可能です。
住宅ローン審査で通らないなら援助の対策をとろう
住宅ローン審査は注文住宅を建てる際に重要なポイントですが、審査を受けるためには準備する書類があり、全て揃わなければ審査を進められません。
また、事前審査や本審査は通らないケースもあるため、事前に対策する必要があります。
場合によっては、援助を依頼することで住宅ローンの借り入れ額を減らし、審査を通りやすくすることも必要でしょう。
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